普通の抱っこを、体幹のコアで行う「コアナ抱っこ」
抱っこしているのに、疲れて見えない。
赤ちゃんはママの身体にすっと収まり、肩にも表情にも余計な力が入っていない。 立っている姿まできれいで、赤ちゃんもどこか心地よさそう。
そんな抱っこを見ると、
「私も、あんなふうに抱っこできたら」
と思います。
素敵な抱っこは、ファッションや笑顔だけでつくられるものではありません。 毎日続く抱っこだからこそ、ママが無理をせず、疲れにくいことも、その美しさの一部です。
ローカパーラでは、普通の抱っこを体幹のコアで行うことを、 少し遊び心を込めて「コアナ抱っこ」と呼んでいます。
これは、特別な抱き方を覚える話ではありません。
抱っこを通してママの身体を整え、そこで身につけた身体の使い方を、 いつか子どもへ手渡していく。
素敵な抱っこから始まる、親子の身体の物語です。
素敵な抱っこは、なぜ素敵に見える?
「私も、あんなふうに抱っこしたい」
街や雑誌、Instagramで、思わず目を留めてしまう抱っこ姿があります。
特別に着飾っているわけではない。
赤ちゃんを高く掲げているわけでもない。
それなのに、立ち姿がすっとしていて、抱っこしていることが負担に見えない。
ママの表情には余裕があり、赤ちゃんも身体を預けている。
かわいいだけではありません。
抱っこそのものが上手で、素敵なのです。
子育てでは、まず赤ちゃんを安全に抱くことを教わります。 それは何より大切な基本です。
けれど、抱っこは一度できれば終わりではありません。
朝も、昼も、夜も。
家でも、外でも。
泣いたときも、眠いときも。
赤ちゃんが少しずつ重くなってからも続きます。
毎日繰り返すことだからこそ、ただ安全にできるだけではなく、 もっと上手に、もっと楽にできる方がよいのではないでしょうか。
抱っこにも、上手さがある
テニスでは、サーブが相手のコートに入れば、それで完成とは考えません。
力任せでも、偶然でも、ボールは入ります。けれど、長く続けるなら、 身体に無理がなく、安定して繰り返せるフォームを身につけた方がよい。
上手な選手の動きは、必要以上に力んでいません。
軽く見える。
安定している。
何度繰り返しても、同じように動ける。
そして、見ていて美しい。
抱っこも、それに近いところがあります。
一度だけなら、腕や腰で頑張っても抱けます。 けれど、毎日何度も繰り返せば、その小さな無理は肩、腰、手首、背中へ少しずつ積み重なります。
反対に、上手な人の抱っこには無駄な力がありません。
赤ちゃんを身体に近づけ、腕だけに頼らず、自分の身体全体で重さを受けている。 だから、抱っこしているのに疲れて見えないのです。
素敵な抱っこの真髄は、ママが疲れないこと
素敵な抱っことは、見栄えだけを整えた抱っこではありません。
肩をすくめていない。
手首で必死に支えていない。
腰を反らせて耐えていない。
呼吸が止まっていない。
ママの身体に余計な力が入っていないから、表情にも余白が生まれます。
そして、抱く側の身体が安定していれば、赤ちゃんも身体を預けやすくなります。
ママが楽で、赤ちゃんも安心している。
そこには、わざとつくった笑顔ではない、自然な愛情が表れます。
だから、素敵に見える。
素敵な抱っこの真髄は、ママが疲れないことです。
赤ちゃんが重くなったら、抱っこは腕力から体幹へ
毎日の抱っこが、少しずつ重くなる頃
生まれたばかりの頃は、腕でも何とか抱けていた赤ちゃん。
けれど、少しずつ身体が大きくなり、5kg、6kg、7kgと重くなるにつれて、 抱っこの負担は変わってきます。
抱っこしていると肩が上がる。
手首や親指がつらい。
腰を反らせないと支えられない。
寝かしつけの揺らしで、背中や腰が疲れる。
この頃になると、
「赤ちゃんが重くなったから仕方がない」
と思うママも少なくありません。
もちろん、赤ちゃんの体重そのものを軽くすることはできません。
ただし、その重さを身体のどこで受けるかは変えられます。
育児中の身体ケアが、対症的になりやすい理由
子育て中のママには、腰痛、肩こり、背中の張り、手首の痛みなど、 さまざまな身体の不調が起こります。
こうした身体を施術によって整えることは大切です。
けれど、育児そのものは翌日からも続きます。
また抱っこする。
授乳する。
寝かしつける。
床から抱き上げる。
買い物へ行く。
身体を整えても、同じ身体の使い方で同じ動作を繰り返せば、 また同じところへ負担が集まります。
そのため、育児中の身体ケアは、どうしても今ある症状への対応という側面を持ちます。
そこでローカパーラでは、身体を整えることに加えて、 毎日の抱っこで身体を傷めにくい使い方を身につけてもらうことを考えました。
その一つが、コアナ抱っこです。
普通の抱っこと、何が違う?
コアナ抱っこは、赤ちゃんの抱き方を新しくつくり直したものではありません。
赤ちゃんを安全に支えるという基本は、一般的な抱っこと変わりません。
違うのは、ママが自分の身体をどのように使っているかです。
赤ちゃんが身体から離れるほど、その重さは腕や肩、腰にかかりやすくなります。
重さそのものは変わりません。 けれど、身体から離れたものを支えるには、それだけ大きな力が必要になります。
反対に、赤ちゃんを自分の体幹へ近づけると、その重さを腕だけではなく、 身体の中心に近い場所で受けられるようになります。
普通の抱っことコアナ抱っこの違いは、赤ちゃんの形や向きではありません。
赤ちゃんとの距離と、重さの受け方です。
腕で持つより、体幹に引き込む
コアナ抱っこでは、腕を伸ばして赤ちゃんを持ち続けるのではなく、 脇を軽く締め、赤ちゃんを体幹へ引き寄せます。
腕は赤ちゃんを支えます。
しかし、腕だけで重さを抱え込まない。
肩甲骨まわりと体幹をつなぎ、赤ちゃんの重さを身体の軸に近づけていきます。
立っているときは、
- 耳が前へ出すぎていないか
- 肩が上がっていないか
- 腰を反らせていないか
- 股関節の上に身体が乗っているか
- 踵まで安定しているか
といった身体の位置を確認します。
寝かしつけで身体を揺らすときも、腰を反らせたりひねったりして揺らすのではなく、 股関節を中心に動きます。
お腹とお尻の筋肉を使いながら、身体の軸を大きく崩さずに揺れる。
そうすると、腰だけで赤ちゃんの重さを受け続ける必要がなくなります。
普通の抱っこをコアで行う「コアナ抱っこ」
コアナ抱っことは、
普通の抱っこを、体幹のコアを使って行うこと。
これが、最も簡単で正確な定義です。
特殊なポーズを覚えるものではありません。
誰かと同じ形をつくることが目的でもありません。
赤ちゃんの身体に合わせた普通の抱っこを、ママ自身が腕や腰だけで頑張ることなく行えるようにする。
脇を軽く締め、体幹と股関節を使い、赤ちゃんの重さを身体の中心へ近づける。
その結果として、
- 肩が上がりにくくなる
- 手首だけに頼らなくなる
- 腰で反って耐えにくくなる
- 抱っこしたまま立ちやすくなる
- 揺らしや歩行が安定する
という変化が生まれます。
コアナ抱っこは、抱っこを変わったものにするのではありません。
普通の抱っこを、もっと普通に、もっと楽にできる身体をつくるものです。
コツではなく、身体で覚えるお稽古
抱っこのコツは、すでにたくさん紹介されています。
赤ちゃんを身体に近づける。
肩の力を抜く。
腰を反らさない。
言葉で聞けば、どれも難しいことではありません。
しかし、自分では肩の力を抜いているつもりでも、実際には肩が上がっていることがあります。 腰を反っていないつもりでも、赤ちゃんを抱いた瞬間に骨盤が前へ逃げていることもあります。
身体の使い方は、知識として理解することと、実際にできることが同じではありません。
だから、コアナ抱っこの習得は「コツを聞く」というより、少しお稽古事に似ています。
耳、肩、股関節、踵といった身体の基準点を一緒に確認し、実際に抱いてみる。 必要なところを直し、もう一度やってみる。
「あ、さっきより軽い」
その感覚を身体で確かめながら、普通の抱っこをコアで行えるようにしていきます。
身体を整えたあとに、その身体の使い方まで更新する。
コアナ抱っこは、子育て中のママに向けた、 ローカパーラのからだOSアップデートです。
抱っこで覚えた身体は、いつか子どもへ
育児は、ママが身体を学ぶ時間にもなる
育児は、身体に負担がかかる時間です。
けれど、見方を変えれば、毎日同じ動作を繰り返しながら、 身体の使い方を覚えていく時間でもあります。
抱っこする。
立ち上がる。
歩く。
揺らす。
子どもの重さを受け止める。
それらを腕や腰だけで頑張るのではなく、体幹と股関節を使って行う。
そうすれば、育児はママの身体が傷んでいくだけの時間ではなく、 自分の身体を使い直す時間にもなります。
子どもの成長と一緒に、ママの抱っこも上手になっていく。
第一子の頃に身につけた身体の使い方は、家族が増えたときにも、 子どもがさらに重くなったときにも、ママを助けてくれるはずです。
言葉や箸の持ち方を教えるように
親は、子どもにたくさんのものを手渡します。
言葉を教える。
箸の持ち方を教える。
靴をそろえることを教える。
人との接し方を教える。
そうした生活の中の学びに、身体の使い方が加わってもよいのではないでしょうか。
どう立つのか。
どう座るのか。
どう歩くのか。
人や物の重さを、どう支えるのか。
子どもは成長すれば、机に向かうようになります。 学校で学び、大人になれば仕事をします。 長時間椅子に座ることも、誰かを支えることもあるでしょう。
そのときに必要になる身体の土台は、ある日突然身につくものではありません。
毎日の暮らしの中で、親の姿を見ながら、少しずつ受け取っていくものです。
親から子へ手渡される、身体の文化
ママがコアナ抱っこを通して、体幹の使い方を身につける。
それは、ママ自身の腰や肩を守るためだけではありません。
子どもが大きくなったとき、
「腰だけで頑張らないんだよ」
「足で立って、身体の中心を使うんだよ」
「力を入れるだけではなく、上手に支えるんだよ」
と、身体の感覚を伝えられるようになります。
もちろん、抱っこをしていれば、それだけで子どもが正しい身体の使い方を 身につけるわけではありません。
けれど、親自身が知らないことを、子どもに教えるのは難しい。
まずママが、自分の身体を知る。
そして、言葉と手本によって子どもへ渡していく。
言葉や箸の持ち方と同じように、身体の使い方も親から子へ受け継いでいく。
コアナ抱っこは、その最初の入口です。
あとがき 保土ケ谷で、親子の身体を育てる
保土ケ谷は、家族が暮らす街です。
子どもを抱いて歩く。
ベビーカーを押す。
買い物袋を持って坂道を上る。
駅へ向かい、公園へ行き、家へ帰る。
ここでの子育ては、家の中だけで完結するものではありません。
坂や階段のある街を、赤ちゃんと一緒に移動する。
子どもが成長すれば、手をつないで歩く。
やがて学校へ通い、机に向かい、大人になってこの街から仕事へ向かう。
子育て中のママの身体を整えることは、今ある腰痛や肩こりを楽にすることだけではありません。
育児で傷みにくい身体の使い方を身につける。
その身体の使い方を、親から子へ手渡していく。
親子がこの街で、少し健やかに暮らせるようにする。
それが、保土ケ谷にあるローカパーラだからこそ、できることだと考えています。
姿勢は、思いの表象
子どもを大切に思う気持ちは、言葉だけに表れるものではありません。
どのように抱くか。
どのように支えるか。
どのような姿勢で、その重さを引き受けるか。
腕や腰だけで必死に耐えるのではなく、身体の中心で受け止める。
そこには、赤ちゃんを安心させたいという思いと、 これからも元気に育児を続けたいというママの思いが、同時に表れています。
最初に見た、あの素敵な抱っこ。
それは、きれいに見せるためだけの姿ではありませんでした。
ママの身体に余白があり、赤ちゃんをやさしく、安定して支えられているからこそ、 素敵に見えたのです。
姿勢は、思いの表象。
素敵な抱っこから、親子の身体の物語を始めてみませんか。
