ローカパーラ店舗外観

扉の向こうの、ほんとうの話

〜ローカパーラが“治療院っぽくない”理由〜

治療院なのに、治療院らしくないですね――
はじめて来た方によく言われる言葉です。

カフェみたい、花屋みたい、ギャラリーみたい。
どれも正解のようで、ちょっと違う。

名前は、ローカパーラ・カイロプラクティック。
横浜の住宅街にある、小さな治療院です。

内装は、私がDIYで少しずつ仕上げました。
決して完璧ではないけれど、落ち着くと言ってもらえることが多いです。

でも、“治療院らしくない”と言われるたびに、私はちょっと誇らしく思うのです。

なぜならそれこそが、この場所をつくった本当の理由だからです。

治療院らしさが、時に“緊張”を生む

治療院という空間には、ある種の「構え」があります。

白く整えられた室内。
無機質な照明。

「ここに来ている=自分が不調だ」と、
嫌でも突きつけられるような空気感。

そんな場所で、プライベートな悩みを正直に話すのは、
思っているよりずっとハードルが高いことです。

そこで私は思いました。

もっと、話しやすい空間にできないだろうか?

コーヒーでも飲みながら話すくらいの距離感。
それくらいがちょうどいいと思ったのです。

治療とは“整えてもらうこと”じゃない

本当の治療というのは、施術者が何かを“与える”ことではありません。

その人自身の中にある「回復のスイッチ」を、そっと押すこと。

施術室の様子

施術ベッドから見える、いつもの景色。

だからこそ、空間も“強すぎてはいけない”と思いました。

自然光の入る窓。
木の温度が残る家具。
静かに揺れる植物たち。

どれも、見た目のためではなく、
「ちょっとだけ呼吸が深くなるように」と願って配置したものです。

……というのは理屈で、正直に言えば、
私がただ植物とコーヒーが好きだったから、という理由もあります(笑)

ちょっとだけ、いい話を。

少しだけ、個人的な話をしてもいいでしょうか?

先ほど「内装はDIYで仕上げた」と書きましたが、
実は私、開業前は木工なんて一度もやったことがなかったんです。

もともとシステムエンジニアで、
のこぎりなんて触ったこともないような人間でした。

でも、開業時に業者に頼める余裕もなく、
自分でやるしかなかった。

やってみると、不思議と手が動いたんです。
苦じゃなかった。

きっとそれは、子どもの頃に、父が遊びながら教えてくれた大工の手仕事が
どこか身体の奥に残っていたからだと思います。

木のにおい、釘の音、手の感覚。
あの頃の記憶が、思いがけず今の仕事を助けてくれました。

そしてそのDIYは、今でも“進行中”です。

本棚の位置が変わったり、照明が少し低くなったり。
「これ、前と違いますよね?」と気づいてくださる方もいます。

まるで間違い探しのように、
私の手のあとを見つけて笑ってくれるのが、ちょっと嬉しいんです。

たぶんこの治療院は、
私にとってのサグラダ・ファミリアみたいなものなんだと思います。

何年経っても、どこかが建築中。
完成を目指しているというより、
その“作り続けている”という状態そのものが、
私にとっての“呼吸”なのかもしれません。

だからきっと、ここは来るたびに少しだけ違う場所で、
でも、どこまでも「あなたが還ってこられる場所」であり続けたいと思っています。

おまけのひとこと

あ、そうそう。
「ローカパーラ」って、けっこう噛まれがちです(笑)

よかったら、気軽に「ロカパラ」って呼んでください。
呼びやすい名前のほうが、きっと仲良くなれる気がするので。

……そういうの、けっこう大事だと思ってます!